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里山の秋:天狗のようなクモ

 遠くから運動会の開幕を告げる花火の音。晴れの特異日、そして東京オリンピックの開会式が催された10月10日はハレの日であったのに…。体育の日はいつの頃からか、10月初めの連休の一日となってしまった、その体育の日の今日は、なんだか空もあやしいが、降り出す前に、と里山を歩いてきた。

 樹から落ち、枯れた茶色の花がネザサの葉の上にのっているのか、と思って手を触れたら、糸を引いて笹の葉から宙づりにぶら樹木のこぶにそっくりなゲホウグモ下がった。おやっ!糸を手繰ると、そいつの太ももは小豆色。これは、ゲホウグモだ。このクモは、枝にいると樹のこぶにそっくりだと云うし、そういう写真も見ていたので家に持ち帰り鉢植えの姫林檎の枝にそっと置いてやった。ゲホウグモは、すぐに脚を縮めて樹のこぶのポーズをとってくれたので、私はそれらしい写真を撮ることができた。

 げほう様とは、天狗のこと。保永堂版広重・五十三次の沼津には、金毘羅詣の背にした猿田彦の面が異様にどぎつい印象であるが、私の撮ったげほう様は、枯れ枝に身をひそめていらっしゃる。

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