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ビオトープ孟子のこがねぐも相撲大会 (2005年7月17日)

 コガネグモを土俵で相撲をさせて遊ぶ、昔からの子どもの遊びを受け継いでいく大会が、和歌山県海南市のNPO法人自然回復を試みる会・ビオトープ孟子(もうこ)で開催された。今年は、第6回大会である。僕は昨年、準備の集いに参加させていただき「子どもたちに楽しい一日を…」の想いで一杯のビオトープ孟子の理事の皆さん方の熱意に感激をしたのだが、本番への参加は今年が初めてである。「海の日」と連休の初日の日曜日だ。渋滞に巻き込まれぬようにと、早朝からマイカーを走らせた。

 試合開始1時間前の午前9時から、コガネグモを携えた小学生たちがテント下の受付に並んでいた。この日の参加者は、小学生が17人、エントリーしたクモは19頭。一方、ビオトープ孟子の方々と保護者と僕のような野次馬、さらに、和歌山県立自然博物館の方々や海南市政策調整課広報広聴係の若林さん…と、大人たちは、おおよそ30人。クモ相撲目的ではないトンボ観察会の一団(ビオトープ孟子の有本さんが講師をされていた)もクモ相撲は気になる様子。さらには、中学生(体操服を着た女子生徒と引率の先生)も興味深く観戦をしていた…と、大人数。約1時間のクモ相撲のトーナメント戦が終わり、表彰式までの休憩時間には、冷水で冷やされた桃とスイカ、アイスクリームが振舞われ、まさに夏休み。仕事に追われ季節の無い日々を送る僕にとっての楽しい一日であった。

 いよいよ「くも相撲」が始まった。紅白の棒が立てられ、そこには”ひもし”という60cmほどの横棒が付いている。クモは、この”ひもし”の上で戦う。これは、鹿児島・加治木の「くも合戦」と同じである。立行司の西浦さんは、裃姿に着替えられ、軍配も持っている。”ひもし”を付けた紅白の棒はテント張りの土俵の真中に据え付けられている。土俵が有り、行司が軍配を持つところは、加治木と違うところ。また、クモはなかなか戦わず「引き分け」が多く、子どもたちのジャンケンで勝敗が決まることも多いし、加治木のように”かまえ”と”しかけ”という厳密な立会いから始まらないことも多いのだが、そもそも子どもたちのクモ遊びの原点は、このような形だったのではないだろうか。

くも相撲の土俵

土俵の真中に紅白の棒を立て、この棒に”ひもし”という横棒。クモは、この横棒の上で戦う。

熱心にくも相撲を見る子どもと大人と立行司の西浦さん

裃姿の立行司・西浦さんと熱心にクモの戦いを見つめる子どもと大人

 さてこの日、僕はビオトープ孟子の「くも相撲」大会を後に、串本まで足を伸ばした。加治木の「くも合戦」に出場させた串本産のクモを産地に還すため、またもっと大きなクモがいる所を探すためでもある。牧場や養鶏場の傍を探すと良い、と教えていただいたので、「尾鷲牧場」を訪れる。残念ながら、牛舎の周りに草地はなくコガネグモはいない。搾り立ての牛乳は美味しく、またその牛乳ビンのキャップは、マニアの世界では有名らしい。さっそく写真を撮る。潮岬の民宿のおばちゃんには、養鶏場を案内してもらった。おばちゃんは、僕の車をバイクで先導して、地鶏を飼っている所や鶏舎を案内してくれた。でも、潮岬は、照葉樹林で覆われ、草地は殆ど無い。うーむ、来年の「くも合戦」も前途多難である。

尾鷲牛乳尾鷲牛乳の牛乳ビンキャップ

「尾鷲牧場」の牛乳

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